何も始まらず、何も終わらず、ただ続いていくだけのような毎日の中で、鍋の底からぷくぷくと沸き出る小さな変化を丁寧にすくい取ったようなお話だった。
この「終わらない感じ」がたまらなく良い。
この作家の本は初めて読んだ。
なぜ読もうと思ったのか覚えていない。
もっと読みたいと思った。
指の跡の付いていない柔らかくて優しい味のサンドイッチが食べたい。
名なしのスープが飲みたい。
あの映画が観たい。
あの口笛のメロディーを聞きたい。
奇しくも「サンドイッチ屋さん」というのは先に読んだ山崎ナオコーラの「美しい距離」にも出てくる職業であった。不思議なリンク。
こういう本に出会えると
ものすごく幸せな気持ちになる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2021年1月10日
- 読了日 : 2021年1月8日
- 本棚登録日 : 2020年6月28日
みんなの感想をみる