トリックの大胆さに驚かされた。
ストーリーは、共通点の無い複数の猟奇的殺人の謎に迫っていくのだが、あまりに凄惨な殺人現場の叙述に高い緊張感と没入感とともに引き込まれる。
例に漏れず、私も二作目「その女アレックス」を先に読んでいたので、オチの一つは分かっていたわけだが、それでも犯人はなぜ凄惨な殺人事件を引き起こすのか、読み解く部分は色々残っていた。
そんな中突如、からくりが分かるのだが、分かった途端、頭はフラッシュバックの連続、パチパチと音を立てるような錯覚に襲われてしまった。
このトリックは他ではなかなか味わえないので、読む価値はあるだろう。
しかし、作品としての評価は、2つに分かれる。
トリックが分かっても、登場人物や設定を読みつなぐことができれば高評価。そうでなければ、評価できない、そんな小説だ。
残念ながら、私は後者だったが、ピエール・ルメートルはトリックになかなか凝った著者なので、三作目「傷だらけのカミーユ」に是非期待したい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 感想投稿日 : 2018年2月6日
- 読了日 : 2018年1月9日
- 本棚登録日 : 2017年12月22日
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