少女ソフィアの夏

  • 講談社 (1993年11月15日発売)
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感想 : 24
5

ソフィアとそのおばあさんとパパは、夏の始まりとともに孤島に住み、この物語は夏の終わりとともに終わります。ちょっと遅いけど今読み終わって丁度良かったかも。少女ソフィアと邦題は持ってきてるけど、独白はおばあさんだから、多分おばあさんが主人公。おばあさんの目に映る孫娘ソフィアは、時々お転婆で手に負えないものの、気の置けない仲間であり、面白い生き物といった感じ。二人はいつでも仲良しこよしではなく、そのテンポのいい会話の押し合いは、時にぶつかり合いになり、その時々で人生に感じてることがじりじりと研磨され形になる。ソフィアの言葉は突拍子もなく楽しいが時に突き刺さる。『わたしは、ゆっくりと死んでいくものは、なんでもみんなきらいです!』『わたしは助けてあげたいのに助けられないものが、だいきらいです!』「ミミズの研究」として述べるソフィアの上の言葉は私の幼心の部分をはっしと捕らえた。幼いソフィアの発見や憤り・恐れをおばあさんは一緒に楽しみ、たしなめ、ただ聴くだけだったりする。おばあさんには老いというものがのしかかる時がある。それはどうしようもない実感としてのみ嘆息するしかない場合もあるが、「テント」の話ではソフィアがそれを幾分か癒す。夏の北欧のこびないさっぱりとした美しさと二人の会話の滋味深さ、楽しさがぎゅっとつまった夏休みの書だった。オススメ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 少女の秘密
感想投稿日 : 2009年8月9日
読了日 : 2009年9月8日
本棚登録日 : 2009年8月9日

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