世界のすべての七月

  • 文藝春秋 (2004年3月11日発売)
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本棚登録 : 305
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1969年に大学を卒業し、2000年の同窓会に集った人々の群像劇。登場人物達は皆50歳を過ぎてもいまだに過去をグダグダと引きずり、人間関係に思い悩んでいる。ベトナム戦争が泥沼化していた60年代末の時代的雰囲気が、色濃く全編を覆っている。登場人物達のある意味ドタバタした行動を、著者は、過度に感情移入せず、また突き放しもしない絶妙の距離感で描いており、ファルスと紙一重の印象深い作品に仕上がっている。短編を整理し直して長編にまとめたということだが、無理に長編として読まなくても短編集的に読んでも良い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸・小説
感想投稿日 : 2004年10月12日
読了日 : 2004年10月12日
本棚登録日 : 2004年10月12日

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