第2巻はイタリア半島を統一したローマが、ハンニバルの率いるカルタゴを滅亡させるまで、紀元前264年から紀元前146年。
ハンニバルとスキピオの対決する第二次ポエニ戦役、ザマの会戦の描写は素晴らしい。2000年前の北アフリカにいて、激闘を見ているような迫力である。著者の筆力に感嘆しながら読んだ。
「天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることの出来る人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである」
「年齢が頑固にするのではない。成功が頑固にする。抜本的な改革は、優れた才能を持ちながらも、過去の成功には加担しなかった者によってしかなされない。しばしばそれは若い世代による」
「ローマがカルタゴとの間に結んだ講和は、正義が非正義に対して下す、報復・こらしめではなかった。戦争という、人類がどうしても超脱することの出来ない悪業を、勝者と敗者でなく、せいぎとひせいぎに分けはじめたのはいつ頃からであろう。分けたからといって、戦争が消滅したわけでもないのだが」
「他者よりも優れた業績を成しとげたり有力な地にの昇った人で、嫉妬から無縁で過ごせた者はいない。機会は、相手に少しでも弱点が見えたときだ。・・・」
「歴史現象は必然的な勢いで進行したと考えがちであるが、ほとんどはそのようにはきれいに進まない」
「カルタゴ滅亡のとき、ローマの勝将・・・かっては栄華を誇った帝国の滅亡という、偉大な瞬間に立ち合っている。だが、この今、私の胸を占めているのは勝者の喜びではない。いつかはわがローマも、これと同じときを迎えるであろうという哀歓なのだ」
- 感想投稿日 : 2008年9月12日
- 本棚登録日 : 2008年9月12日
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