直木賞受賞作。様々な人々の視点から一つの事件を紐解き、それぞれの理由が解明されていくにつれ、リアリティーを増しているようだった。ひとつの事件を題材にルポ形式で物語が進んでいき、真実に辿り着く過程を関わりのある人物描写、事件背景などを組み合わせていて緻密な文体表現が重厚感があった。複雑な心情が絡み、語り口からも悍ましさと怒りの部分も感じ取れる。今の若い人が祐司のような素因を持っているだろう、だから祐司の気持ちが判るのではないかというのが印象深い。自分本位の人間が増えているのは現代にも通ずるものだろう。
読書状況:読み終わった
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作者 ま行
- 感想投稿日 : 2015年12月16日
- 読了日 : 2015年12月16日
- 本棚登録日 : 2015年12月10日
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