超訳 論語 (ディスカヴァークラシックシリーズ)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2012年12月14日発売)
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チェック項目28箇所。論語では「仁」ではなく、学習回路の閉じている状態を「悪」と呼ぶ、そして君子とは逆に、学習回路が閉じている者を「小人」と呼ぶ。何かを学ぶことは危険な行為だ、なぜならそれは、自分の感覚を売り渡すことになるから、しかし、学んだことを自分のものにするために努力を重ねていれば、あるとき、ふと本当の意味での理解が起きて、自分自身のものになる。学習の悦びを知っている人は、それを知らない人を見ると、「なんてくだらないヤツだ」と思ってしまいがちだ、しかし、そういうときにも、心を乱されないでいる人が、「君子」なのだ。君子は、常にありのままの自分自身でいなければいけない、言葉と心とが一致していなければいけない、だから、自分をごまかしているような人間を友としてはいけない。礼というのは、形式ではない、双方が互いに心を開き、調和のとれた関係が成り立っていることを「和」と言い、その状況でとり交わされるコミュニケーションが、必然的に礼にかなったものになっているのだ。「他人が自分を知ってくれない」なんてどうでもいいことだ、「自分で自分を知ろうとしない」ことが問題なのだ。三十歳になってようやく、学んだことを自分のものにして、自分自身の感覚を回復し、自分で立つことができるようになった。学習回路が開いた君子は、状況に応じて自分を新しくしていくことができる。何かを学んでも、それが何であるかを自分で考えなければ、学んだことにとらわれてしまう、とはいえ、何も学ばないで、自分で考えているばかりでは、堂々巡りして、知性が死んだようになってしまう。仁であることは、それ自体が美しいことだ、仁でいるなら、まっすぐな分岐なき道が、きみの前に広がっているはずだからだ。私は、仁を好む者など、見たことがない、なぜなら、仁でないものには、仁が何かわからないので、仁を求めようがないからだ。君子は「義」すなわち「何をすべきか」をまず考える、小人は「利」すなわち「何をしたら得か」をまず考える。古の人は思ったことを軽々しく言葉にしなかった、我が身のありさまがそれに追いつかないことを恥じたからた。「他人がどう感じるかは、君の身体の及ぶところではない。それを感じようとすると、君の感覚を他人に譲り渡すことになってしまう。それはとても危険なことだ」。「知っている」よりは「好む」ほうが上だ、「好む」よりは「楽しむ」ほうが上だ。自らの身体の教える道をひたすらに進もうと決意し、その道を自らの魂の力によって突き進み、次々と生じる事態の一つ一つから学んで成長し、必要となる知識や技芸を自由自在に駆使すべく身につける、これが大切だ。仁は学習過程を開くという態度のことなのだから、私が仁でありたい、と思ったなら、それはもはや仁がここにある、ということだ。勇者とは恐れない者のことだ、知者とは、惑って自らの進むべき道を見失うことのない者のことだ、仁者とは、自らの内からも、周囲の人の心からも、憂いをなくすことのできる者のことだ。「自分自身のありさまを、無意識を含めて反省し、目をそむけたくなるような事実を受け止め、自分のあり方を変える。このような家庭を経て、人々との調和によって礼を実現する。これが『克己復礼』だ。これができれば『仁』だ」。「自らの心のままに感ずるところを相手に告げて、自分が善いと考えるところに従って相手を導く。これが友だちとしてすべきことだ。しかし、そうしても聞き入れなければ、それ以上はやるべきではない。無理に自分の考えを相手に押し付けたりすると、結局は自分が傷つくことになる」。その身が正しければ、誰にも何も命令しなくとも、ものごとはうまくいく、その身が正しくなければ、何を命令しても、誰も従わない。古の学ぶ者は、自分自身のために学んだ、知識とはそういうものだ、ところが今の学ぶ者は、世のため人のために学んでいる、大変な堕落だ。他人を批判する暇はない。君子は矜持が高いが、他人と評価を争うことはせず、多くの仲間がいるが、徒党を組んだりはしない。素直な友人、道理のわかる友人、もの知りの友人は有益である、うまい話を持ってくる友人、善人だが腰抜けの友人、口達者な友人は、有害である。儀礼や音楽を楽しみとし、人の優れた点を話すのを楽しみとし、賢い友人をたくさん持つことを楽しみとするのは、有益である、好き放題の大騒ぎを楽しみとし、怠け遊ぶことを楽しみとし、酒盛りを楽しみとするのは有害だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心に響く
感想投稿日 : 2013年3月31日
読了日 : 2013年3月22日
本棚登録日 : 2013年3月22日

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