魚喃キリコ短編集

著者 :
  • 飛鳥新社 (2003年2月21日発売)
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本棚登録 : 1043
感想 : 90
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久しぶりに読んだら結構びっくりした。こんなの絵がうまくて、センスがよければ誰でもかけるんじゃないか。昔鳩よ!で、制作ノートのようなものが公開されていて幾分がっかりしたけど、今読んでみてその1000倍くらいがっかりした。漫画というより詩、一時期はやったキレイな写真にええ言葉書こうか、というようなものに見える。
そう思うのは、状況をそのままきりとってだけいるけど、それが自分の範疇を超えていない。どのページを手繰っても、そこには魚喃キリコが存在していて、こうすればよかったんでしょ、こう書けばセンスいいでしょ、といっているような気がする。それ以外にも、めんどくさい女の話とか、書かなきゃいけないのはここからはみ出てる部分なんじゃっていう、何かいてんだって思わされる。
そしてこの人にはこの先のなにもかけないんじゃ。blueってすばらしくきれいでかわいかったし、自分の中で大事な本になったけど、それの自意識過剰な感じは思春期と相まってうまく処理されていたように思う。思春期の、私の体を、女である私を、人間である私を、ひたすらに意識する部分とうっすらとした恋へのアピール力が、ないまぜになって、それはそれでそのままかかなくてはああいうイタさはでなかったんだろうけど、それだけに余白に頼る部分が多かった。それでよかったのでは。
別に悪いことを悪い、ってあげつらいたかったわけじゃなくて、それでも大丈夫と思って読んでた昔があるから、書いとこう、とおもう。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2010年7月8日
本棚登録日 : 2010年7月8日

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