自殺の一番多い原因はうつ病。
この本はうつ病の人の数が数字として増えたことの原因をある程度明らかにしてくれます。しかし、残念ながら、うつ病が“実際に”増えたかどうか、そしてその原因がどこにあるのかまでは断言していません。(推測はしていますが)
数字の上でうつ病が増えた原因は、製薬会社のマーケティング戦略。
これにより、精神科の受診者数が増えたことが原因。
そして、認知させることにより、それが数字だけの問題ではなく、実際にうつ病を増やしている可能性がある、という指摘。
抗うつ剤の効果はプラセボと比較して著しく効きがいいとはいいがたいという実験事実と、副作用などのリスク。
例えば「抗うつ薬服用群の方がプラセボ投与群よりも、自殺者の比率が1.8倍と高かったのである。統計的な有意差はなかったが、予想外の結果だった」
何よりも、統計的に見ると抗うつ薬がうつ病を減らせていないという事実。
もちろん、重症化する患者の中には抗うつ薬が効く人はいるけれども、とりあえず薬を投与してしまう大勢の日本の精神化医のやり方に疑問をなげかけているわけです。
この本がうったえようとしていることはたくさんありますが、個人的に一番重要だと思ったのは、会社や私生活の問題がうつ病の原因であるならば、それに向き合わずに薬の投与だけでうつ病が解決するわけがないという指摘。
もちろん、バイアスはかかってると思いますが、自殺の問題についてそれが持つ側面の一つを知ることができると思います。何より、自身がそれを回避するためにも。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年4月9日
- 読了日 : 2016年4月9日
- 本棚登録日 : 2016年4月9日
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