春樹小説の中では比較的読みやすく特徴的な何層もの多重構成の展開というより、謎解きを楽しむミステリアス感がページを進ませた。ニュアンスが「海辺のカフカ」を想起させ、今回も上田秋成の、ある小説がキーワードになっている。第1部ではミステリーの一端が明かされていくが第2部でどう展開しエピローグを迎えるのか気になるところだ。が、随所に盛り込まれた春樹氏ならではの露骨な性描写が、やれやれまたか‥とへきえきする。国内外で圧倒的なファンを持つ村上作品だが、エロティックなものを好まない読者は離れていくだろう。私も第二部は読む気がしない。春樹氏の思想は好きだが小説は後味が悪い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
◇純文学
- 感想投稿日 : 2017年4月16日
- 読了日 : 2017年4月9日
- 本棚登録日 : 2017年4月16日
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