気分上々 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年1月24日発売)
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本棚登録 : 1173
感想 : 88
5

森絵都さん初読。

どの短編も読み返したくなる。素晴らしい。

特に⑦。読み終えると同時に泣いた。40ページちょっとで、主人公の人生を深く辿らせるその手腕に脱帽。⑤、⑥の着想も圧巻。

①ウエルカムの小部屋
周囲の反対を押し切り、自称「発明家」の彼と結婚したその後の私と、トイレ。
②彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別な日
バーでの出会いの場面を彼と彼女の視点から。題名からして心地いい。
③17レボリューション
17歳。千春は自己改革のため、親友イヅモに一年間の絶交を申し渡す。しかしこのイヅモが本当にいい味。助演女優賞!
④本物の恋
カフェにて。8年前にほんの一瞬、一緒にいただけの彼を見つけ、彼も私に気づいた。秘密がうまく練り込まれている。
⑤東の果つるところ
あとがきに家系図は2日がかりとあった。お腹の子を「おまえ」呼ばわり以外は着想、ストーリーともに見事!
⑥本が失われた日、の翌日
いやいや、こんな着想できるか。極上のショートショート。
⑦ブレノワール
母と喧嘩し、ブルターニュとガレットを捨てたジャンが長い道のりの果てに辿り着いた、真実の白い花。
⑧ヨハネスブルグのマフィア
東京港湾合同庁舎、こんな場所で始まり、終わる10年間の「恋」。
⑨気分上々
最終行ちゃうやろ、どこから題名持ってきとんねん!最後の言い訳、中2男子が母親にできるか!思わず漫才のツッコミを僕は一人で入れてしまいました。いい感じです。

森さんの次は「みかづき」読みたいな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月7日
読了日 : 2021年10月7日
本棚登録日 : 2021年10月7日

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