敢えて☆5つ。
理由は、「救い」のあるラストにしてくれているから。
起こり得るが、あり得ない条件の重ね方。
28年前の事件に端を発し、
・身籠もった子を生むという夫婦の決断
・事件が周囲や生まれた本人にまで知られていること
・犯人が名を変え、この街に舞い戻ってきていて、それを被害者家族が知るようになること
この3つが重なり、ラストへと導かれていく。
自分の「生」そのものに向き合い続けなければいけない”春”の心情を考えると、いたたまれない気持ちになった。
この作品を気に入ったのは、
小説として描写される以前のこの家族の様子が、ちょっとのエピソードで浮かび上がってくる点と、
語り手である兄”泉水”の、一連の落書き・放火事件の中での推理の、真実を避けているかのような『もたつき』。
それ自体が、弟”春”に対する深い、家族としての情愛を示しているように思われるから。
このような受け取り方ができるのは、僕がこの事件のような経験や苦しみを味わったことがないから。
本作は虚構の世界であるが、
現実に被害に遭う方を減らすためにも、厳罰化や教育、再犯防止のシステムなどの取り組みが必要だと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年5月28日
- 読了日 : 2022年5月28日
- 本棚登録日 : 2022年5月28日
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コメント 4件
ダイちゃんさんのコメント
2022/06/10
shukawabestさんのコメント
2022/06/10
ダイちゃんさんのコメント
2022/06/10
shukawabestさんのコメント
2022/06/10