企業の基幹ソフトを導入することは、2012年の今ではパソコンにウインドウズが入っているのと同じぐらい当たり前のこととなりました。年商500億前後の中規模な企業でもERPソフトを活用するようになり、敷居はどんどん低くなっている。
ERPパッケージは、プロトタイピング方式でシステムの動きを実際に触りながら基幹システムを組み立てられることができるため、手組の自己開発のソフトと比べ、ユーザ要件を吸収しやすく、そして手戻りによる費用が少ない特徴がある。
プログラム作成前に、エンドユーザが完璧な要件定義書を作成し、ウォーターフォール型で一発で最上級のソフトを提供できる自信があるのであれば、手組のほうが安くつくかもしれないが、エンドユーザが要件定義を完璧に出来る知識がある時点で、それはもう現場の人間じゃない。自力で自分の担当部門のシステム化が出来てしまい、他のソフト会社に依頼する必要すらないだろう。
往々にしてエンドユーザは何がしたいのか曖昧でソフトに関して十分な知識は持ち合わせていない。プログラムは入力した情報、及び参照するよう定義された情報を元(インプット)にし、各ステップごとに各パラメータを演算・分岐・生成等の処理を繰り返し、最終的に求める結果を出力(アウトプット)する。インプットのデータがしっかりしないと、結果はでない。プログラムは魔法の箱ではない。
そして、ソフト屋も、一般企業がどのように業務運用しているのかを事前に完璧に把握など出来るはずもない。原則は同じであっても、ポリシーと過去の経緯によりその形態は何色にでも染まるものなのだ。その業務運用を如何にしてプログラムに落としこむのか。
一つの解としては、過去の企業に導入され高い評価を得たベストプラクティスの手法を可能な限り利用して企業の基幹ソフトとすることである。
特に、SAPと呼ばれるERPソフトはプログラムの知識が無くても基幹システムが組み立てられ、実際に動く。
導入する約1年〜1.5年の間に、現場の担当者が触りながら学んでいき、今の会社のあり方をシステムにするのではなく、ベストプラクティスを採用してより効率のよい会社の運営を行える、大きな鍵となるのだ。
世の中の多くの企業がERPパッケージを採用しているのに、業績が天と地ほどの差が出てくる。それは、ただシステム化しただけの会社と、会社をあるべき姿にするために、目標を持ってERPを導入した会社との違いであると解く。
本書のタイトルでもある「経営革新」のためだ。
- 感想投稿日 : 2012年3月4日
- 読了日 : 2012年3月4日
- 本棚登録日 : 2012年2月29日
みんなの感想をみる