ぼくが電話をかけている場所 (中公文庫 C 30)

  • 中央公論新社 (1986年1月1日発売)
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感想 : 34
5

どの話も他の短編集で読んだことがあった。けれど少し印象がちがう感じもあって、村上さんの訳文がちがうのかなと思った。もしかしたら読み手側のコンディションがちがうから印象が変わっていただけかもしれない。

『出かけるって女たちに言ってくるよ』が今回は胸に刺さった。
大学在学中に結婚して中退、スーパーマーケットに就職した男。まだ若者気分の彼は羽目を外して幼馴染と一緒に二人組の女をナンパする。相手にされなかったことに腹を立てたのか、性欲を発散させたかったのはわからない。彼は自分の感情の昂ぶりを制御できない。彼は石で女たちを片付けてしまう。奥さんも娘もいて仕事も順調で、彼は幸せなはずなのに。

どうしようもない男の救いようのない話。
そしてよくある話だと思う。つまり、どうしようもない人間になってしまうことはよくある、ということだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界文学
感想投稿日 : 2020年3月29日
読了日 : 2020年3月29日
本棚登録日 : 2020年3月29日

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