男が痴漢になる理由

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  • イースト・プレス (2017年8月18日発売)
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多くの痴漢は勃起していない。性犯罪のニュースに「去勢しろ!」と言う人もいるが、性犯罪の動機を性欲だけに求めると、そこにある性暴力の本質を見誤る。だが、強迫的な性衝動を抑制する薬物もあり、人権に配慮して処方されている、とのこと。

抗うつ剤「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」は、うつ病やパニック障害、強迫神経症の人に処方される薬だが、副作用のひとつに勃起不全があり、性依存症の治療に取り入れられているそうだ。
さらに効き目が強力な抗精神病薬が用いられることもあり、こちらは吐き気などの強い副作用がある。

そもそも人はどのように痴漢を始め、常習化していくのか。
電車内で偶然身体がぶつかってしまったり、他者の痴漢行為を目撃した時に、「こんなに簡単なんだ」「意外とバレないんだ」と発見し、学習してしまうことから起こる認知の歪み。
「もっとひどいことしてる人もいる」「女性だって嫌がっていない」「仕事でストレスが溜まっているから自分は許される」などと自分の行為を正当化。
そうやって歪んだ認知を正当化して、痴漢が生きがいになっていってしまう人も多いという。

【リスクを承知しているのに、自身の性的欲求や衝動をコントロールできない。または精神的、身体的、社会的破綻をきたしているにもかかわらず、それがやめられない状態】を性嗜好障害だと本のなかで定義していた。
性依存症の怖さを感じると共に、専門クリニックに相談できると知れて勉強になった。
自分も依存してしまったらぜひ通いたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2021年4月15日
読了日 : 2021年4月14日
本棚登録日 : 2021年4月14日

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