山田風太郎の大傑作『甲賀忍法帖』へのオマージュ作品。なんと装画まで一昔前の角川文庫の妖しさ(画・佐伯俊男)そのままで、オールドファンは胸が躍る。
原作同様、対立する忍者同士が秘術を尽くして死闘を繰り広げるストーリー。
登場する忍者・忍術はもちろん山田正紀のオリジナルだが、荒唐無稽な忍術のひとつひとつに現代風の解説がついているのがユニークなところ。ツーミラーズニューロンによる読心術、ノンコーディングRNA、眼力による遺伝子情報の操作など、トンデモ科学のオンパレード。
著者が楽しんで書いているのがわかるし、読んでいても楽しかったが、さすがに後半になってくると、そこまで無理に科学的に証明しようとしなくてもと、やや辟易した。
『甲賀忍法帖』は21世紀になっても、映画、コミック、アニメに展開されているが、間違いなく日本が誇るSFの金字塔だとあらためて感じた。
そういう意味では、絶対に原作を超えられないので★4どまり。あと、原作では10人対10人だったのが7人対7人に減っているのが少し物足りなかったかな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学・評論
- 感想投稿日 : 2009年4月2日
- 読了日 : 2010年4月2日
- 本棚登録日 : 2009年4月2日
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