死ねばいいのに (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年11月15日発売)
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本棚登録 : 179
感想 : 13
4

短編集と思って読み始めて最初はどうかなと思ったが、個々の短編が一つの事件、というより人物に関するつながりのある話であると気づいてから俄然面白味が増した。

個々の話は、京極堂の憑き物落としのような感じで、その話の対象となる人物の考え方、悩み、常識等を、一見軽薄短小な若者だが実は洞察力に優れた名探偵ともいうべき人間が、ひっくり返す展開であり、最後に「死ねばいいのに」という一言で締められている。

「死ねばいいのに」という言葉は、最後の短編までは、「ぐちゃぐちゃ言うな。そんなの悩みでもなんでもないだろ。」ぐらいの意味なのだが、最後の短編においてある人物に対してのみ、その意味が違ってしまっている。

それにより本作品通じての最大の謎である、何故その人物が殺されたのかという謎が解けるのだが、残念ながらその人物は彼岸の住人になってしまっているので(魍魎の箱で箱の中を除いてしまった人物のように)、この真相自体にあまり納得感というか爽快感はなかった。

個々の短編は楽しめただけに、その点だけが少し残念だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2014年2月2日
読了日 : 2014年2月2日
本棚登録日 : 2014年2月2日

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