単行本が出版された時から読みたいと思っていたが、クラシックに詳しくなく、よくわからないかなと思い、その後、文庫になった時も同様で、ここまで読まずに来た。図書館の文庫本の棚で、読まないままだとずっと気になってそうなので借りて読むことにした。
出てくる音楽をスマホで検索し、そのままYouTubeで流しながら、読んだ。同じ時の同じ演奏者の演奏をそんな簡単にタダで聴けるわけもなく、ただ曲が一緒、良くて演奏者も一緒、というレベルなので、厳密に言えば参考にはならないのだが、私にとってはありがたいことだった。
日本を代表する指揮者と小説家の対談が面白くないわけはない。村上さんは小澤さんも感心するほどの音楽通だ。
私にとっては、ほとんど本当の意味ではついていけてないのだが、面白かった。
全編楽しみながら読めたのだが、特に、スイスの小澤さん主宰の音楽塾の章が印象に残っている。
ここは対談ではなく、村上さんの訪問記。
「良き音楽」が出来上がるのに必要なのは、スパークとマジックだと村上さんは書いている。これは、音楽だけではなく他の「良き〇〇」にも当てはまるような気がする。
あと、文庫版の方だけに収録されている「厚木からの長い道のり」も。個人的に厚木に思い入れみたいなものがあり、文庫本出版の時から、どういうことだろうと気になっていた。「そういうことだったのか」と長年の謎?が解けた気分だ。
結局私にとっては、偉大なもうお亡くなりになった音楽家たちに対して、知識が少なすぎて、肝心の小澤さんの回顧の部分が、面白くはあるけど、印象としては薄いということなのだろう。
小澤さんは、村上さんと話すことによって、次から次へと思い出が溢れてくるとおっしゃって、この対談を始められたので、そちらがメインということになるだろう。でも、仕方がない。クラシックファンの方が楽しくお読みになれる素晴らしい対談集だったと思う。そして、しつこいが私のような門外漢もとても楽しめたと改めて書いておこう。
- 感想投稿日 : 2016年7月30日
- 読了日 : 2016年7月30日
- 本棚登録日 : 2016年7月17日
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