第2次大戦時に沖縄へ駐屯し、侵攻してきたアメリカ軍と戦い潰滅した日本第三十二軍の高級参謀八原大佐が綴った沖縄戦の記録(2015/05/25発行)。
当時の日本陸軍参謀の作戦立案能力が、どれ程低かったが良く解る本です。
例えば、必勝戦法が10キロの急造爆薬を抱えてアメリカ軍戦車に体当たりし自爆すると云うものであったり、戦力差を無視した無謀な総攻撃を行い戦力を著しく消耗するなど、ドイツやアメリカ、イギリス他の国々の参謀と比較すると著しく劣っているように感じました。
又、元高級将校の軍人であった筈の著者ですが、海軍の提督を将軍と云っていたり、陸軍の航空部隊を当時存在しない空軍と云っていたり、陸軍の常套句である”転進”とは云わず”後退”と云っているなどなど不可解なことや、軍司令部で唯一捕虜になり逃げ延びたことに対する釈明が今一つ頷けなないなど、本書の信憑性にも疑問を感じました。
本書、史料としてそれなりに意義のある本かもしれませんが、幻の名著と云うには大げさな本のように思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
近代東洋史
- 感想投稿日 : 2015年8月1日
- 読了日 : 2015年9月3日
- 本棚登録日 : 2015年7月6日
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