2008年発売の新書ということで今更読むには半端に遅いかもしれないと思いつつ、積読していたものの中で目が行ったので、ゆるゆると読んでみました。やはり「現代人」として描写されるものに若干の古さを感じて面白く思い(セカチュウに愛の流刑地)、約10年という月日が決して短くないことを実感すると共に、普遍的な教訓も含まれていて、どちらの意味においても今読むことは決して無駄ではありませんでした。
まず、愛の話。愛は自分が幸せになるためのものではない、という言葉は実にその通りだと思ったし、つまるところキリストの示した愛に通じるのだと再確認しました。無償の愛というのは「有り難い」こととでも言えばいいのか。それだけで、それだけとは言っていけないほどの奇跡だということ。そんなものはなかなか与えられるものでもなければ受け取れるものでもないでしょう。とここまで書いてみて、やはり日本人の元来の価値観と愛という概念はぴたっとハマらない部分がありそうだと思ってしまったり。せめて、情け、情という言葉の方がしっくりくるような気がしたり。
それから「横着者」になったらいいという痛快な一言に痺れました。悩むことは悪いことではないし、物事を考え続けることには必ず意味があります。それでも、一人間が一生のうちに辿りつけるところには「どうせ」限りがあります。悩みぬいた果てに「まあこんなもんでいいか」と適当に見切りをつけてもそんなに悪くはないはずです。そんな風に、自分なりにうまく妥協点を見出して、毎日を過ごしたいと思わされました。もとい、日々無意識にやっている部分が多いわけですが、「それでいいのだ」と言われた気分で今何とも心地が良いです。
- 感想投稿日 : 2017年10月8日
- 読了日 : 2017年10月8日
- 本棚登録日 : 2017年10月8日
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