『ガラスの街』を読んで以来、軽くマイブームになっている柴田元幸訳のポール・オースターは今回が四冊目。書かれた時期からすると、本書が最も古いとのこと。
他の作品同様、これも非常に内省的。しかも、題材が父子であり、「僕自身をモデルにして、自己というもののなりたち方について探った作品」とのことで、内省度合いが他の作品よりはるかに強い。前半は、父親から愛情らしい愛情を示されなかったことを心に刺さる言葉で綴っている。内容は辛いはずなのだが、なにか美しささえ感じられる。一方、後半は古典などから様々な引用を交えた、小説というよりは散文に近いトーンで進む。正直、読むのにかなりの体力を要するが、愛情に飢えた心情を思うと読む手を止められない。
オースターの主な著作に一通り目を通したら、この初期の作品にもう一度戻ってこよう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本・雑誌
- 感想投稿日 : 2018年11月18日
- 読了日 : 2013年11月27日
- 本棚登録日 : 2018年11月18日
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