かわいいタイトルだけど、内容は相当に人を喰っている(笑)。
ジャンルは終末世界SFになるのだろうか。架空のボノコン教という宗教が出てくるのだが、その『ボノコンの書』の冒頭はこんなだそうだ。
「わたしがこれから語ろうとするさまざまな真実の事柄は、みんな真っ赤な嘘である」
すべての物事は大まじめに進んで行くが、それらは同時にとても滑稽で、それでいて哀れである。
目がまわる、目がまわる。うんざりするほどの混沌と単純さが入り混じった世界で、しかしヴォネガットさんは現実をありのままに語る。この作家さんは、そんな現実をそのままジョークにしてしまうのだ。いやはや。
現実に対してユーモアで反骨しているのだと思う。ほんとに皮肉屋ね。でも、それは一つの許しなのだとも思う。人間は愚かだということへの。
「<フォーマ>(無害な非真実)を生きるよすべとしなさい。それはあなたを、勇敢で、親切で、健康で、幸福な人間にする」 ――『ボコノンの書』第一の書第五節
読書状況:読み終わった
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どこかにあると、まだ信じてる
- 感想投稿日 : 2014年12月28日
- 読了日 : 2014年12月4日
- 本棚登録日 : 2014年12月4日
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