宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書 む 2-1)

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  • 幻冬舎 (2010年9月28日発売)
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【まとめ】
1 物質(宇宙)は何でできているのか
惑星のサンプルがなくても光を分析すれば、それがどんな物質からできているかを調べることができる。光を精密機械で分光し吸収線スペクトル上に表すと、ある一部分に黒い線が入る。これはその部分だけ原子に光が吸収されてしまうからだ。そのため、光のどの波長が吸収されているかを分析すれば、惑星上に存在する原子の種類がわかる。

スーパーカミオカンデは、すべての星とニュートリノが同じぐらい存在することを突き止めたが、星とニュートリノ、目に見えない原子などを合わせても、宇宙の全エネルギーの4.4%程度にしかならない。残りの96%のうち、23%は暗黒物質であり、暗黒物質の重力が太陽系全体を銀河に引き留めている。73%は暗黒エネルギーだ。暗黒エネルギーは宇宙が膨張しようとも密度が薄まることはない謎の存在であり、これが宇宙をぐいぐいと後押しして膨張を加速させている。


2 宇宙を見る
ビッグバンによる宇宙誕生後から38万光年あたりまでは、宇宙の姿を観測できていない。電子や陽子、中性子などさまざまな粒子が高速で飛び交う火の玉の時代であったため、光や電波がまっすぐ飛ぶことができなかったからだ。
そこで、宇宙のスケールを素粒子のスケールまでサイズダウンし、ビックバンをミクロの領域で再現することで「宇宙の誕生」を観察しようと試みている。粒子に高エネルギーを加えて衝突させる衝突型円形加速器(LHC)を使ったプロジェクトだ。

原子は電子とクォークからできているが、原子の陽子や中性子などを構成するクォークには「アップクォーク」と「グウンクォーク」の2種類がある。構造もわかっていて、陽子は「アップ」2つと「ダウン」1つ、中性子は「ダウン」2つと「アップ」1つ。原子はその3つでできているが、宇宙にはニュートリノ(正確には電子ニュートリノ)という素粒子もある。そして、アップ、ダウン、電子二ュートリノ、電子の4つの素粒子のことを、標準模型では「第1世代」と名付けた。
第2世代ではチャームクォーク、ストレンジクォーク、ミューオン(ミュー粒子)とミューニュートリノが見つかる。
次の第3世代ではトップクォークとボトムクォーク、タウオンとタウニュートリノが発見された。この12種類の素粒子はフェルミオン(フェルミ粒子)と呼ばれ、物質はこれら12種類を基本に構成されると考えられている。


3 これからの宇宙研究
・暗黒物質が原子を引き寄せて星ができあがることがわかった。
・超ひも理論が、重力を含めた4つの力を1つの理論で統一できる可能性を秘めている。
・暗黒物質の検出のためにXMASSという検出器を地下深くに建設している。また、暗黒物質の性質を調べるための加速器「国際リニアコライダー」の建設も計画中である。
・反物質と物質は同じ数だけ存在するはずだが、なぜか10億分の2だけ物質のほうが多い。その10億分の2の差異はどうやって生まれたのかを探るため、ニュートリノが反ニュートリノに変わる現象が無いかを研究している。

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感想投稿日 : 2022年5月12日
読了日 : 2022年5月10日
本棚登録日 : 2022年5月10日

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