豆腐小僧双六道中ふりだし

著者 :
  • 講談社 (2003年12月20日発売)
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「お化け妖怪をあのように否定し続けて行っても、その先に待っているのは云いようのない、表しようのない不安だけだと云うことが解っておらん。先程も申した通り、不安や恐怖と云う感情はどうやったって消せないのだからな。それを仮託する対象だけを消去して行けば、行き処がなくなるのは当然のことだ。怖がるモノが何もなくても、それでも怖いそれでも畏ろしいとなれば、正常な人格も健全な社会も、保つのが難しくなろう。隙間を埋めるようにして妙な宗教やら危険な思想やらが衍り出したら、手のつけられぬことになる」

映画を見てからこちらを読んだらほぼ別物だったのだけど、映画で良いなと思った根底は共通していて納得。
妖怪とは何なのか、哲学・民俗学・社会学などを背に置いて、一冊ずっと京極先生の独演会で、それが楽しいの何の。
舞台は江戸時代なのだけど、現代社会まで語られていて面白かった。
その流れでこう来るかというクライマックスがいいんだー!
続編も読みたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年5月8日
読了日 : 2022年5月8日
本棚登録日 : 2022年5月5日

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