「娘に会うまでは死ねない,妻との約束を守るために」.
そう言い続けた男は,なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか.
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序盤からぐいぐい吸い込まれ,久々に大号泣.
劇的なストーリー展開でも癖のある文章でもないのに,何故か引き込まれてしまう不思議な構成と文章.次が気になって仕方ないけれど,読み終えたくないジレンマ.こんな小説に出会ったのは久々だ.
「娘に会うまでは死ねない」「必ず生きろ」と言い続けた宮部は何故零戦に乗ったのか.
明示的には書かれていないけれど,何となく分かる気がする不思議.分かった気になってるだけか.それでも良い.私の読書満足度が満たされたことに変わりはない.
■文章構成
意図した/しないに関わらず,宮部と出会った人は何かしらの影響を受けているのが印象的.
そして,宮部の死後,関係者が様々な形で娘を救うことになる展開に,「参りました」と作者に感服.
■零戦乗りのかっこよさ
零戦乗りのパイロットが格好良すぎる.
零戦乗りとして,そして,零戦そのものに対するプライドにぐっと来た.
終盤で,「零戦はもう無敵じゃないんだ・・・」と悟るとこで思わず涙.
■何が何でも生きる
個人的教義として,「人は何が何でも生きなければならない」と思っているので,宮部の姿勢は全面的に共感した.
「何が何でも生きろ」と部下に伝え,自分自身が何より生きることを第一に考えた宮部.
やっぱりそうだよ.人は生きなきゃいけないんだよね.
「お国のために命を捧げる」そういう小説も嫌いじゃないけど,
もっと.人の欲や本能に忠実な方が好き.
うーん.何だか上手くレビューが書けないわ.
でも本当,とても素敵な小説.
- 感想投稿日 : 2013年9月25日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年9月25日
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