切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話

著者 :
  • 河出書房新社 (2010年10月21日発売)
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本棚登録 : 1342
感想 : 156
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革命とは、読むこと。
テキストと自分をとりまく世界との差異と齟齬に、引き裂かれ、身を捩り、もがき、それによって齎される、再解釈とテキストの書き換えによって、いつも革命は起きて来た。
語り起しによって、出来た本なのだが、著書のアジテーションが、いちいちカッコいい。
「文字こそが人類が開発した驚くべき機械である、夜の機械であり、革命の機械である」とか、「文学、これは恩寵である。奇跡である。ありふれた、何度でもくり返されてきた、しかし数限りない滅びを通り抜けて来た、人類史上の美しい花、輝く閃光。一瞬の奇跡なのです」とか。
久々に現れた、切れ味鋭く、華のある論客だと思う。
なんだか、レオス・カラックスが『汚れた血』で、時代の寵児となった時を思い起こさせる批評家の登場。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会思想・哲学
感想投稿日 : 2011年5月15日
読了日 : 2011年5月13日
本棚登録日 : 2011年5月15日

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