人間の体を構成するもの一つ一つに値がつく。人間の命は重いとする一方で、保険における限度額が設定されていたり、精子や卵子、血液、臓器に対しても、一定の値段で売買することが可能となっている。これにより、結果として助からなかった命が助かることになった。それは大変魅力的であり、望ましいことだと言えよう。その一方で技術の進歩、医学の進歩と学問の分野が開拓されていけばいくほど、今度は商業的な部分と結びついていくことになるのは避けられない。確かに、この体は自分にとってのものに相違ない。がしかし、あらかじめ定められたマーケットの相場に合わせて、それを流動させることは少しさみしい気もする。自分にとってこの体とは何か?と立ち止まり、考えさせてもらえる一冊である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
理学
- 感想投稿日 : 2011年5月22日
- 読了日 : 2011年5月22日
- 本棚登録日 : 2011年5月8日
みんなの感想をみる