双頭の悪魔 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 2-3)

著者 :
  • 東京創元社 (1999年4月21日発売)
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感想 : 388
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学生アリスと江神二郎のシリーズ、第3弾。
前作『孤島パズル』の後の、秋の出来事である。

孤島の別荘地で起きた事件のショックを引きずる有馬麻里亜は大学にも戻らず、出奔してしまう。
多少の家出癖のある娘だったらしい。
彼女が身を寄せている先は、大富豪がパトロンとなって芸術家たちを住まわせている村。
一般人の立ち入りを許さず、秘密めいた場所である。
江神二郎たち、推理小説研究会の面々は、マリアの両親から、孤島の事件を共に体験した仲間たちの方が彼女を説得できるのではないか、と、マリアの救出を依頼された。

とにかく分厚い!!
しかし、豪雨で橋が落ちた川に分断され、江上とマリア側、アリス、望月、織田側、両方で事件が起きるのである。
言ってみれば2冊分かもしれないので、このボリュームは納得せざるを得ない。

最初はアリスらと共に「外から来た人間」として芸術家村のことを読むので、何だかカルト宗教のアジト、危ない人ばかり住んでいそう、と思ってしまったが、マリアの視点から描かれ始めると、村の芸術家たち一人一人の顔が光に照らされ始め、過去も未来も喜怒哀楽もある普通の人間たちであったと分かってくるのだ。

「殺されそうな人間」は、割と早く想像がつく。
しかし、犯人は今回も分からなかった。
「読者への挑戦」は3回も挟まれる。
3回目の前で、両方の事件の絡み方が分かったけれど、それでもやっぱり、最終的な犯人は分からなかった。

江神二郎も訳ありな人生を送ってきたらしい。
次回作ではまた進展があるのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月24日
読了日 : 2022年5月24日
本棚登録日 : 2022年5月24日

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