装丁はすてき.人生を物語化しなくてもそれなりに幸せにやっていけますよ,という楽観性をたたえたストーリー.多くの人間にとって物語化は理不尽な人生に意味を見出すための悲痛な試みなんじゃないか.それを簡単に無目的にやってても大丈夫と安請け合いされてもいらいらするところはある.またそういくことを言うなら,徘徊する老人を世話しながら自身も卒中に倒れてしまう同僚や,いわれない差別に心を痛めるバシュキール人の数学者にこそ,もっと描写を尽くすべきではないのか.特に同僚の扱いはかなりぞんざいだと思う.卒中になってめでたしめでたしみたいなひどい扱い.ただ,77歳になってこの楽観性に至るのであれば長生きしてみようという気にはなる.
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- 感想投稿日 : 2011年10月16日
- 読了日 : 2011年10月16日
- 本棚登録日 : 2011年10月16日
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