オー!ファーザー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2013年6月26日発売)
3.86
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本棚登録 : 14859
感想 : 1017
4

2021(R3)6.5-6.19

高校生の主人公には、なぜか父親が4人いる。
4人が4人とも個性的で、性格もバラバラなのだが、主人公を愛する親心は人一倍。
肝心の母親は四股交際を平然とやってのけ、なおかつその4人と家庭を持っている。なのにケンカは起きず、4人が4人とも相手を尊重して仲良く暮らしている。
…という設定自体がぶっとんでいて面白い。

そんな家族を持つ主人公が、ちょっとした正義感のせいで災難に巻き込まれ、そこに4人の父親が絡んで物語が加速する。

よかったのは、自分の中で感じる「伊坂幸太郎らしさ」を久しぶりに感じて安心したこと。
それは、「それなりにまともな感覚を持つ主人公」と「常識からかけ離れた、ぶっ飛んだキャラ」の絡み合いがあったこと。

ちょっと…と思ったのは、「伏線」の扱い。
帯に『「えっ、これも伏線だったの?」と、すべてが繋がる技の冴え。」とあって、「あの急転直下、怒涛の終末とスカッとする読後感を味わえるのか」とワクワクして読み進め、その期待は裏切らなかった。
ただし、(自分自身が伊坂作品にたくさん触れて、ちょっと生意気になっているからだろうが)、数々の伏線が「伏線のための伏線」に感じてしまったところ。要は、数々の「伏線ストーリー」が唐突なものに感じたこと。本筋を進めていくのに必ずしも必要ではないストーリーが時々挟み込まれるが故に、「これって伏線じゃない?」と思えてしまった。
とはいえ、その「伏線の絡み方」はさすがに面白く、そんな展開だったのか!と納得させられる。

いずれにしても、「らしさ」をたっぷり味わえました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月23日
読了日 : 2021年6月23日
本棚登録日 : 2021年6月5日

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