Yの悲劇 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1958年11月18日発売)
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本棚登録 : 248
感想 : 27
4

 ドルリー・レーンは推理を披露する時の、理路整然とした説明の仕方が見事だ。あっと驚かされるけど、疑問の余地を許さない。それはサム警部が頭の悪さを発揮して、あらゆる可能性に疑問を挟むことで、パズルの隙間を全て埋めていくから成り立っている。完璧なレーンと少し足りない周囲の人々は、ミステリーの駒以外の面、キャラクターとしても非常に愛らしい。ぷりぷり怒るサム警部は読んでて飽きない。

 緻密な謎解きと個性的なキャラクターは、レーンシリーズの最大の魅力。しかし物語自体には、パズルの隙間を埋めていく退屈さが見受けられる。解決編への期待でなんとか読み切ったのも事実だった。

 最高傑作と呼ばれるYを読めたから、Zはもういいかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説ーミステリー
感想投稿日 : 2012年8月8日
読了日 : 2012年8月8日
本棚登録日 : 2012年8月3日

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