下巻読んで良かったです。つくづくそう思いました。
何だろ。体の中にどっしりした何かが熱くなっているような、丹田に気が集中して重心が落ち着いた……そんな気持ちになりました。
読んだ人に何かを残してくれる、素晴らしい物語でした。
あんなに絶望的だった上巻から、陽子を救ったのは半獣、楽俊でした。楽俊の惜しみない優しさに触れることによって、徐々に陽子の傷ついた心が癒されていきました。
それでも陽子は楽俊を信じることが出来ませんでした。この国に来てから自分に襲い掛かる敵や禍からの命の危機、出会った人々による酷い仕打ちは、それほど彼女を苦しめたのです。
けれど陽子はついに一歩前へ進みます。自身が人を信じることと、人が陽子を裏切ることは何の関係もない。陽子自身が優しいことと他者が陽子に優しいことは何の関係もないはず。
強くなりたい、死なない、ぜったいに、負けない……と声にだした陽子は神々しかったです。素敵でした。愛おしかったです。
自分が誰も信じられなかったこと、敵しかいないんだと思ってたこと、そして楽俊を見捨てて逃げ出し、止めを刺しに戻ろうと思ったこと……そんな心の内を楽俊に明かしたこと、それは陽子が変わりはじめたからこその告白だったんじゃないかと思います。
陽子の運命は一気に回りだしたのだけれど、その道はこれからも彼女にとって辛く険しいものになるでしょう。けれど、今の陽子ならきっと大丈夫。だって陽子の作る国を望んでくれる者たちがいるのですから。けっして独りなんかじゃないのですから。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学:著者あ行
- 感想投稿日 : 2018年8月19日
- 読了日 : 2018年8月19日
- 本棚登録日 : 2018年8月19日
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コメント 6件
5552さんのコメント
2018/08/20
地球っこさんのコメント
2018/08/20
松子さんのコメント
2022/10/11
地球っこさんのコメント
2022/10/11
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2022/10/11
松子さんのコメント
2022/10/11