伯父の古書店でアルバイトをしている菅生芳光は、ある日やって来た若い女性客に、死んだ父親が書いた5編の小説探しを頼まれる。
高額の報酬に惹かれ引き受けた彼は、調べを進めていくうちに彼女の父親が20年前にスイスで起きた事件の容疑者だったことがわかる。
リドル・ミステリーである結末の無い小説を集めるうちに、彼が辿り着いた真実とは……。
非常に良く練られた作品なのだと思いました。
リドル・ミステリー=「結末の無い物話」という意味だそうで、勉強になります。
この作品の場合、小説の中で出てくる5つの話は、最後の一文は依頼人の手元にあるため、最初から結末がわかっていて、内容を探すという倒置(?)的なリドル・ミステリーのようでした。
そして終盤、見つかった4つの物語は5つの結末の中から2つ選択できるように読めるようになっていることが明らかにされていきます。
この過程が謎解き部分であり、本作の醍醐味であると感じました。
あと事件の真相、依頼主の父が妻である依頼主の母を殺したのか?という部分については少し読めたオチだったかな?と思わなくも無いですが、
それ以上にそれぞれ面白い話だしつながっているし、なにより現実の事件への解答となっているという、構図が秀逸だと思いました。
読み落としている点(伏線などなど)が多い気もしますが、一気に読み応えのある作品でした!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年6月5日
- 読了日 : 2014年6月5日
- 本棚登録日 : 2014年6月5日
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