『息子と恋人』『チャタレイ夫人の恋人』で知られるD・H・ロレンスの幻想短編集。ロレンスと幻想小説という、なかなか結びつかない組み合わせが面白い。とはいえ基本的に写実主義の作家ではあるので、幻想といっても妙にリアリティがあるのが面白い。
怪奇小説じみたモチーフを扱ってはいても、人間関係の機微で読ませる『喜びの幽霊』や、島という場所に、過剰に執着する人間心理が寧ろ恐い『島を愛した男』、全編にわたってゆるやかな破滅の気配が漂う『もの』など、いっぷう変わった怪奇小説と言える短編が好みだった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年9月28日
- 読了日 : 2015年9月27日
- 本棚登録日 : 2015年9月14日
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