シャーリイ・ジャクスンの未邦訳長編。
『くじ』や『丘の屋敷』といったホラーの印象が強いが、本作は人間関係を軸にした心理劇と表現する方が近い。癖のある登場人物が次々と現れるが、誰も彼も、決して親近感が持てるタイプではない……というのも面白かった。
本書は決して怖くはないし、既訳がある2つの長編『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』のイメージで読み始めると、意外に感じられることも多い。が、本書で繰り広げられる人間関係を眺めていると、薄ら寒くなってくるのも事実。その辺りがシャーリイ・ジャクスンの上手さだなぁと思う。
文遊社はアンナ・カヴァンの邦訳も手掛けている版元だが、相変わらず宣伝をしてくれないので、ある日突然、書店の店頭で見かけて慌てて買う、というパターンが多い。もうちょっとアチコチで宣伝してくれないものだろうか……。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年1月7日
- 読了日 : 2016年1月7日
- 本棚登録日 : 2016年1月2日
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