セカイ系(引きこもり)から決断主義(サヴァイヴ)そして新教養主義(空気系?)という時代の流れは明確に意識した事はなかった。95年のオウムや911による社会文化的影響について興味もなかったし、考える必要もなかったし。漫画・アニメは中学で卒業したので、よくわからない部分はあったが(そもそもエヴァもハルヒも見た事ないし、らきすたも知らないし)、映画・小説・ドラマの話にはついていけたので、本書を通じて95年からゼロ年代というものが一通り理解はできた。
こういうフレームワーク思考でマッピングして社会分析する手法はわかりやすくていい。する/した自己実現・である/ではない自己承認の対比、無自覚なキャラ的実存・自覚あるモバイル的実存の対比、終わりなき日常・終わりある日常の対比等々、様々な対比による切り口にも説得力がある。
が、現在起きている排除的島宇宙による小さな物語の衝突の回避としてOpen the doorによる設計主義的管理思想を唱え、絶望から可能性へと前向きな主張は見られるものの、具体的な解決策の提示にまでは至っていない印象。これが基本的には分析メインであるサブカル論というかデザインできない社会学の限界だろうか?
※「何を食べたか?」をアピールする人間の性(日常からの物語の切り出し)についての説明はとても腑に落ちるものであった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2012年8月26日
- 読了日 : 2012年8月26日
- 本棚登録日 : 2012年7月29日
みんなの感想をみる