実践 行動経済学

  • 日経BP (2009年7月9日発売)
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行動経済学という分野ができて、
これまでさまざまな心理的バイアスが研究・整理されてきた。

例えば、
・児童が食堂のどのおかずを取るかは、並び方に左右される
・どれだけ食べるかは、器の大きさに左右される
・選挙の結果は、ポスターの顔から予測されるものとほとんど同じ
・失うことはその費用のだいたい倍の価値に感じる
・先のことを考えて貯金や保険に入るのは難しい

この本では、それを社会システムの設計に使うための、
実例、提言で構成される。

ただ、実践的な使い方は、ほとんどが
・初期値(デフォルト)を多くの人にとって安心なものする
というもので、あまり目新しくない。

この本の中でも紹介されている
『誰のためのデザイン?』
に書かれている、使いやすい工業デザインを、
モノ以外に応用しただけに見える。

というわけで「実践」の部分はもう少し他の心理学の応用が見たい。

この本で本当にためになったのは、次の点。

おかずの並べ方、入力フォームのデザイン、何かを話す順番、
そんな何気ないことで人の選択は影響される。
そういう意味で、私たちの誰もが「選択アーキテクト」になりうる。
選択の仕組みの設計を間違えると、
悪気がなくても、人に不適切な選択をさせるかも知れない。

何かを提示するとき、その選択設計に無頓着であったことを反省した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年1月9日
読了日 : 2014年1月8日
本棚登録日 : 2014年1月9日

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