日本進化論: 二〇二〇年に向けて (幻冬舎新書 い 3-1)

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  • 幻冬舎 (2007年7月1日発売)
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日本発のグローバル企業・ソニーの元CEOの描くITテクノロジーによる未来論であるが、日本の戦後復興期を支え続けた産業資本主義からITによる金融資本主義への転換の道筋は理解しやすく、ソニーが世界企業になっていった過程も井井氏の功績が大であったと推察する。

しかし現在の日本の故分からぬ不安感に対して「適度に楽観せよ」との意見にはどうも承服しかねる。
金融資本主義、そしてITによる利便追求と快楽消費はこのまま進むのだろうか。進化ってそういうことだろうか。今は少し立ち止まり、進化ではなく未来への不安と期待をどのような方向に向けるべきかを考えたい。環境保全と循環型社会が望まれているのではと思うけれど。

IT技術でブラックボックス化した生活は、どんどん人間として基本的に持っている機能すらまともに発揮できなくなっている。そして本当の社会や人間にとっての幸せは、そのような技術に支えられた生活を求めているのだろうか?

スピード、効率、便利、快適・・・そのリスクは何かも考えたい。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・思想
感想投稿日 : 2009年2月20日
本棚登録日 : 2009年2月20日

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