この小説を語るのに、言葉は相応しくないのではないか。なら何か。言うまでもなく音楽であり、音だ。読み終えてしばし放心してしまったが、意識が戻った時に聞こえてきた街中に溢れる音、生活音やノイズに身を委ねたら、身体中に音が溢れる快感に浸れた。
物語を通じて感じ得たものは山ほどあるが、最も共感したのは、凡人が天才に抱く憧憬と嫉妬だ。ワシも、特に自分が得手の分野で圧倒的な才能能力の差を見せられると、そこに辿り着けない悔しさと虚しさに襲われる。
そして、様々な才能を持ったピアニストとその演奏描写の書き分けがすごい。傑作。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年6月21日
- 読了日 : 2017年6月20日
- 本棚登録日 : 2017年6月21日
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