村上春樹とマエストロ小澤征爾の対談集。村上さんのレコードコレクションからベートーベンやマーラーなどを聴きながら二人が音楽について語る。もちろん中には小澤さんの作品も含まれていて、小澤さんとオーケストラの裏話を挟みながらの対談が心地よい。
村上さんの音楽に対する知識の豊富さにはあらためて驚かされる。また、小澤さんが素直に村上さんにいろいろ質問するあたり、氏の飾らない人柄が感じられる。
面白かったのは、小澤さんとの音楽に向き合う姿勢の違い。いくつもの作品を比べながらその行間を読むように聴く村上さんと、一曲のスコアの細部まで入り込んでいき、作曲者の意図を確かめつつ、自らの音をオーケストラとともに創りあげていく小澤さん。この音楽に対する姿勢の異なる二人が語り合い、何とも言えない良質なハーモニーが奏でられ、素晴らしい対談が創られる。そんな一冊です。
音楽好きには最高の一冊。そして、対談集としても極上の作品だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
音楽
- 感想投稿日 : 2014年2月11日
- 読了日 : 2014年2月10日
- 本棚登録日 : 2014年2月11日
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