ボトルネック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年9月29日発売)
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嵯峨野リョウという主人公がいる世界と
嵯峨野リョウの本来生まれていないはずの姉 サキがいる世界の 
違いを 探しながら、リョウの考えや行動が
どんな影響があるのかを 浮き彫りにする。
いわゆる パラレルワールド である。

リョウの両親の 二人が 他のニンゲンと浮気をしている
ことに対して リョウとサキの対応で、
両親のあり方が 大きく違っているということ。

ノゾミと言う同級生のおかれていた状況に対して
リョウとサキの対応で、
ノゾミの性格の表し方が ちがっていること。

ノゾミの父親は ヒューマニスト
ノゾミの母親は モラリスト。
ノゾミは ヒューマニストにもモラリストにもなりたくなかった。

サキは 『じゃ。オプティミストになれば』という。
リョウは 『なんでもなくなれば、いいんじゃないか』という。
そのことで、ノゾミは、影響を受ける。

自分の存在で おおきく影響を与え 世界が変化する
という 編集方法は 巧みである。

そして ノゾミが 死んでしまったもうひとつの要因が
フミカという 人の不幸を 喜ぶと言う 悪意的な存在が
影響をする。これは、また 違った人間関係をつくり出す。
ねたみの怪物の存在。

そして、自分の生きていることへの根拠。
『死んじゃえ』という言葉の重み。

まったく 違った世界があり、リョウは 
自分の存在そのものを 問いかけることになる。
合わせ鏡を 自分で見つめているような パラレルワールド。
リョウは どう生きていったらいいのだろうか。
一歩 足を踏み出す。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 家族
感想投稿日 : 2017年8月26日
読了日 : 2017年8月26日
本棚登録日 : 2017年8月26日

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