言ってはいけない格差の真実【文春e-Books】

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橘玲の言葉遣いは 
竹を割ったようにすっきりしたところがある。
このすっきり感は どこから来るのだろうか?
確かに、グローバルな視点で、お金の効率ということで、
物事を見ようとしていることからくるのだろうか。

『知識社会において 経済格差は知能の格差である』
と言いきる。
ビリギャルなどでは『努力によって学力は向上する』
といっているが、本当にそうだろうか?
差別は 合理的に説明できない と定義する。
年功序列•終身雇用の日本的雇用を『差別』という。

性別、国籍、人種、宗教、年齢で
差別してはいけないならば、
能力でしか 評価する以外にない。
能力主義は 差別のない社会をめざすリベラルの原理。
労働者の差別をなくそうとすれば、労働者の能力のみで
公正に評価する仕組みが求められる。

まさに 正論とも言える 恐ろしさをもっている。
差別とは あるものであり、
しかし、その差別とは どうあるべきか?
を考察した結果が こんな風になってしまった。

男と女の差別は?
言語中枢の脑の左半球に卒中を起こした男性は
言語性IQが20%低下するが
女性は9%しか低下していない。
やはり、男女差があることは事実だ。
男と女では仕事の適性が違う。
しかし、女性が働きやすい社会が安心して子供うめることを示している。
知能の遺伝率は高い。
論理的推論能力は68%。一般知能が77%とされている。
知能の高い親は所得が高く、
遺伝によって子供の学力も強い。
多重知能論(音楽的知能、身体運動的知能)
がいわれているが、
言語知能と論理数学的知能によってしか判断されていない。

日本を始めとする先進国では、
中国などの新興国との『自由な競争』によって
中間層から脱落し始めている。
トランプを支えたのが、
低学歴、高失業率、低年収の白人たち。

生活保護を受けているのが 163万世帯で 過去最高。
母子家庭の貧困は なぜうまれるのか?
そして、生活保護も受けない。
そこから 知的障害、発達障害、精神障害が起こっている。

世間知らずで、プライドが高く、
ヒトに相談しなさそうなヒト。
リテラシーの低いヒトが 効率的にぼったくられる。

『保育園落ちた。日本死ね』現象は 何を物語るのか?
安倍首相が提唱している「同一労働同一賃金」は、
差別をなくすことができるのか?

日本の一人あたりの労働者が生み出す富は 72994ドル
アメリカの労働者は 116817ドル。
アメリカ人より30%低いという現実。
そのうえで、日本はサービス残業している。
日本人は「会社に反感を持ち」
『世界でもっとも自分の働く会社を信用していない』
『自分の人生をどの程度自由に動かすことができるのか?』
日本人を精神的に拘束し、
社会の閉塞感の元凶になっているのが会社。

能力の差が 格差の現実ということが 
多面的に語られている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス/金儲け
感想投稿日 : 2017年1月18日
読了日 : 2017年1月18日
本棚登録日 : 2017年1月18日

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