受験を目前に控えた中学3年生鑓水佐和子がイジメのため不登校に追い込まれ…
前半はほとんど「ライフ」と同じ話。コンパクトな作品のため「ライフ」のように
描写が暴走してないからイジメの場面など辛いながらも鬱にはならず読める。
しかし「ビタミン」という作品の素晴らしさは
佐和子が「漫画家になる」夢を持つことがきっかけで
無理解な母親、不登校に対する世間の偏見を乗り越え
自分の道を歩んでいこうとする後半の展開にこそある。
佐和子が自身のイジメ体験を漫画に描くところなど
たった2ページしかないが実体験から作品を書いているであろう著者の
「勇気と決断」が読んでいて直に伝わってくる。
物語のラスト、自ら卒業式に参加する佐和子の凛とした表情、
そして彼女の「ある行動」には心底カタルシスを受けた。
前半の暗さを補って余る爽快感!
自分が大人になってから鬱病になり社会復帰に
同様の苦労をしたのでこの作品の真摯さには本当に感動した。
学校やイジメから逃げることは構わない、
大切なのは自分自身から逃げないことだ、ということをこの作品は教えてくれる。
んで、これが良かったら「ライフ」を…と言えないのが辛いのよねえ。
こっちは真摯さが過ぎて恨みつらみがぶちまけられちゃってるもんな。
「ビタミン」の方はイジメや不登校に悩んでる人にとって
力になる内容だから一読してみてはいかがでしょうか?
- 感想投稿日 : 2006年4月15日
- 本棚登録日 : 2006年4月15日
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