ずっと読みたいと思っていた鉄道屋、やっと読めました。
映画化されていること、泣けること、直木賞受賞作品であることは知っていましたが、てっきり長編小説なのかと思いきや、表題を含む8編の短編集だったんですね。
どの小説も、ひと昔も、ふた昔も前、昭和が舞台です。
タクシーや映画館で煙草が吸えた頃。
炭鉱業や織物工業が衰退していった頃。
直接知っているわけではないけれど、祖父母や両親から聞いたことのある時代の話。
表題作の鉄道屋も、そんな時代ならではのお話です。
感動的な、そして映像化してもさぞ美しいだろうと思わせる小説でした。
感動的なはずなのに、物語に入り込めず。
男性にとっては、苦労しつつも、古き良き時代だったのかもしれないけれど、女性にとってはどうでしょうか。
描かれる女性が、男性から見た”こうあってほしい女性像”であるように感じられて、それは昭和の価値観そのものなんだろうけれど、そこに反発したくなる自分がいました。
昭和は昔のことながら遠すぎない地続きの時代なため、まるで違う世界の出来事として読むこともできず、この時代に生きていたらさぞ息苦しかっただろうと感じてしまった。いえ、私も昭和生まれなんですけどね。
それくらいリアルに昭和を映し出した小説の数々で、著者の実体験も詰め込まれているというのも納得な短編集。読む立場によって印象は大きく変わりそうですね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短編集・詩集
- 感想投稿日 : 2022年3月7日
- 読了日 : 2022年3月7日
- 本棚登録日 : 2022年3月7日
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