市村青年の鈍さというか天然さに襟首掴んで揺さぶりたくなる気持ちで読み終えてしまいました。彼と兄がどこへ行ったのか、改めて想像するために時間を置いてからまた読みたいです。
思わせぶりな会話と肝心な部分の描写を省いた、読者の想像を掻き立てる物語。長野さんの作品によくあるこの雰囲気をなんと表現するのが適当かわかりませんが、一言で表すなら妖しいです。
私は子供の頃に初期の長野さんの作品でファンになった層なので、こういった雰囲気の作品に抵抗を覚えないではないですが、文章そのものの美しさは流石。解説の言葉をお借りするのであれば、私にとって長野さんは「ひとり一ジャンルの小説家」です。表現するものが変わっても、長野さんは長野さんだな、と。これからも読み続ける作家さんのお一人だと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
一般_文芸
- 感想投稿日 : 2013年6月19日
- 読了日 : 2013年6月18日
- 本棚登録日 : 2013年6月19日
みんなの感想をみる