比較的初期の短篇を6篇集めたもの。他の文庫なら、タイトルは普通に「少年・幇間」などとするところを、あえて『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』と銘打った。これで新たな読者を開拓しようとの目論見だろうが、『フェティシズム小説集』とともにまずは成功か。ただし、これだと例えば篇中の「少年」等をマゾヒズムの枠組みに固定してしまうことで、他の要素から遠ざけてしまうという欠点も併せ持つ。「少年」、「幇間」、「魔術師」などは耽美、幻惑、哀しみに満ちており、谷崎の筆法は冴えに冴えている。それぞれの短篇は長編に優に匹敵する密度だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2014年3月30日
- 読了日 : 2014年3月20日
- 本棚登録日 : 2014年3月30日
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