ユーラシアの五千年史を上下巻二冊にまとめた本書。分量的には世界史の教科書と同じだが、筆者は経済人だけあって、中国やキリスト教世界にありがちな正統史観ではなく、経済成長の視点が重視されている。
中国、インド、肥沃な三日月地帯、地中海世界など、ユーラシアの歴史は文明が育った農業地帯を中心に語られるが、その背後には東西に連なる草原・乾燥地帯があり、五千年の歴史を通じて、草原の民が平原の文明を突き動かしてきた。その草原ムーブメントの最後尾にモンゴル帝国があり、彼らは軍事力だけでなく経済の面でもグローバリゼーションをもたらす。しかし、合理的な政権が倒された後には怨念の政権が立つのは世の常。中国で元の後を継いだ明朝は、世界に冠たる力を持ちながら、偏狭な朱子学の下ダイナミックさを失っていく。そして鄭和の艦隊が去ったインド洋にポルトガル人が現れ、「大」航海時代が始まる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年11月18日
- 読了日 : 2017年11月18日
- 本棚登録日 : 2017年11月18日
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