COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 07月号 [雑誌]

  • 講談社 (2012年5月25日発売)
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 北欧といえば、高福祉高負担の国であり、家具で有名なイケア、インターネット無料電話のスカイプ、携帯電話で有名なノキアなど日本でも知られている企業がある。明日のテレビ東京の「日経スペシャル 未来世紀ジパング 沸騰現場の経済学」では、北欧企業特集だ。http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/next/#section1 それに合わせたわけではないが、今回のクーリエも北欧特集で北欧の国々を知る良い機会となる。

 教育といえば、フィンランド。なんと言っても国際標準テストで世界的に高レベルにある。その秘密といえば、学校は少人数制で、教師は、優秀な成績を修めた学士号取得者の情意10%から選ばれ、修士号取得するのが義務となっている。詰め込み教育をしているわけでもなく、児童のケアをするソーシャルワーカーなどのサポートを充実させて、生徒が落ちこぼれないようにしている。テストは、学区の統一試験を6年生になってから受けるとあり、しかも担任教諭の同意を得る必要がある。

 日本が参考にしようとしたら、学校を出た後の事例も頭に入れる必要がある。「一所懸命」ということわざがあるように、ひとつのところで必死に仕事をするのがよいのが「常識」になっている。既得権益を持っている側にとっては非常に都合のよい言葉だ。ところがデンマークでは、終身雇用制はなく、柔軟「フレキシブル」であり、安全な「セキュリティー」雇用体系を「フレキシセキュリティ」と読んで、経済力と労働者の権利を守るというシステムを導入している。1つの職場に平均して7~8年勤務して、40年働くとすれば、5~6ヵ所で働く。

 日本で所得格差と待遇の格差を是正するには、正社員に扱いについてメスを入れる必要があるが、とても入れるつもりもないのが現状だ。

 ワールドニュースで気になったのが、スターバックスのヨーロッパ強化作戦。カフェ文化のヨーロッパでは、スターバックスは売り上げが伸びずに苦戦している。そこで、国ごとにサービスを帰る作戦に打って出た。フランスだと、フランス産のチーズを使ってフランス人のハートをわしづかみにしようと躍起になっている。やはり、大手のチェーン店となると個性をどう出すかそこが問題となる。

 シリコンバレーといえば、ハイテクの町なので、そこで学んでいる子供たちはコンピュータを駆使しているのかと思ったがそうでもないところがあった。シリコンバレーにある企業の社員たちが子供を通わせているウォルドルフ・スクール・オブ・ザ・ペニンシュラでは、コンピュータを授業では一切使っていないとあり驚いた。では何が売り物かといえば、「シュタイナー教育」という身体を使った学習とアクティビティーを重視した教育で人を引き付けている。コンピュータに使われる人間ではなく、コンピュータを使い何かを生み出すような側に立って欲しいという親の願いがこの学校の人気になっているのだ。携帯の何とかロワイヤルをせっせとやっても、財布や口座からヒラヒラと現金が羽ばたいていくばかりだもんなあ。仕組みを作る側になった方が儲かる。

 世界にはリッチで名門の血筋を引いている人がいる。今回のロイヤル・ファミリー事件簿 番外編では、「世が世ならフィンランドの王子様!?」で、紹介されている人物がいる。その人は、ドナトゥス・フォン・ヘッセン。あの神聖ローマ帝国から続く名門貴族の跡取りで、しかも膨大な文化遺産を相続とある。玉の輿をねらう「婚活女子」には気になるところだが、独身かどうかは不明だ。

 クラゲのような柔軟な姿勢が必要とされる現代。「フラックス(流動)世代」が登場しているとクーリエに載っている。記事を載せたアメリカの「ファースト・カンパニー」誌いわく、「フラックス世代とは、不安定な状況を積極的に受け入れ、キャリアやビジネスモデル、これまでの常識を修正することに抵抗がなく、それを楽しむ余裕すらあるような人たち」と定義している。そして「未来志向」はフラックス世代の特長の1つになっている。過去形で人生を振り返ったり語っても明日という日はやってこないからだな。変化の波に乗るのがうまい人たちとも言える。公務員になれば、企業ランキング10位以内の企業に就職すれば間違いなしとはいえない時代だけに、頭の中に酸素と血液がきちんと循環するようにして、アンテナを張り、面白いと思った情報を入れるなどして今の時代を生き抜いていく必要がある。

 今月号は北欧特集で、日頃知る機会のない情報に触れることができてよかった。次は、アフリカか東南アジアの特集を組んで欲しいと思った。日本のメディアが取り上げない情報満載でやってもらえるとありがたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年5月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年5月27日

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