とても面白くて、巻を措く能わず、一気に読み通した。さすが名作。「世界商品」である砂糖の歴史を見ていくことで、世界史を読み解き、世界がひとつながりであることを鮮やかに描写している。
本書の特徴は世界システム論の手法で書かれ、生産と消費の両方から砂糖をみている点だろう。世界システム論とは、歴史を国や地域単位でみるのではなく、各国・各地域の相互作用に着目してみる考え方である。もはや専門用語の枠を超えて広く認知されているかも知れない。
本書でたびたび取り上げてられるトリニダード・トバゴの首相で歴史家エリック・ウィリアムズの言葉、「砂糖のあるところに、奴隷あり」は重い。歴史を学ぶことが過去の事象を知るだけにとどまらず、現在の社会の有り様を知る方法であることを本書は教えてくれる。本当に多くの人にオススメしたい本。
何かを学ぼうと思ったら、まずはしっかりとした著者が児童向けに書いた入門書を手に取るといい。本書も岩波ジュニア新書だが、その内容は非常に高度で、学ぶところが山ほどある。ジュニア向けということで参考書が挙げられていないのが個人的には痛い。同じ川北先生の『世界システム論講義』を読み返したくなった。
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- 感想投稿日 : 2022年6月4日
- 読了日 : 2022年6月4日
- 本棚登録日 : 2022年6月4日
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