小野不由美『東亰異聞』読了。
架空の都市「東亰」。瓦斯灯が夜を照らしても、夜には魑魅魍魎が跋扈する。文明開化の時代に起きる連続殺人と、その犯人と目される怪人、その謎を追う記者と香具師。
公爵家のお家騒動が見え隠れし次第に現実性を帯びていく「ミステリ」としての謎解きの面白さと、時代を感じさせる帝都東亰の妖怪変化の雰囲気が、絶妙なバランスで描かれ結末に向けて収束していくのが見事。
終盤の物語としての構成の美しさと、カタルシスはこの一冊にどこまで没入したかによってその色を変える。
「本格」を書ける作者の、ジャンルを横断した傑作伝記ミステリだった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ・推理
- 感想投稿日 : 2021年4月18日
- 読了日 : 2021年4月17日
- 本棚登録日 : 2021年3月20日
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